「zusammen lachen」●鶴紗視点・超短編








ああ、お前は。

あの日のあの場所を通り掛かると
久々に出会った仲人の一匹を見掛けて
トートバッグからにぼしを取り出す。
しゃがみ込んで差し出すと、そろそろとにぼしを咥えた。

頭を撫でると、あまり嬉しそうでは無い尻尾の形で
やめろと訴えかけて来る。
好きなものを食べている最中に、私の撫でる手は邪魔の様だ。
そうしてそっと見守っていると


「たぁぁづさぁぁ!」

『うわっ』


名前を呼ばれると同時に
いきなり後ろから抱き包められて
危うく地面と猫にぶつかりそうになるのを
爪先と膝で必死に食い止める。


「あ、久し振りだナお前」

『危な……』

「良かったな、またにぼし貰ったのか」


そうして梅様が
私の肩口から腕を伸ばして猫の頭に近付けると
今度は嬉しそうに、その手に擦り付いて来る。
猫の、先程までの私への態度の違いには勿論
私を無視して猫を撫でている様子にも
何となく嫉妬してしまう。


『どいて下さい』

「どいて良いのか?」


後ろから私に乗っかったまま覗き込む梅様は
少し意地悪そうに微笑んでいる。
こういう所がこの人の……イヤな所だ。


『はい。せめて隣に』

「お。分かったゾ」


今度は素直に嬉しそうな表情になって
私の横に並んでしゃがむ。
こうしてコロコロ表情が変わる梅様を見ていると


「可愛いな」

『え?』

「猫」

『あ、うん』

「ん?自分の事だと思ったのか?」

『ち、違……』

「もちろん、鶴紗も可愛いゾ」


満面の笑顔を向けられ、頭をヨシヨシと撫でられる。
普通なら拒否するだろうその手を、私は振り解けない。
不思議と嬉しい気持ちが湧いて来るからだ。
本人には言わないけれど。


あれだけ頑なにシュッツエンゲルを拒んで来た梅様が
まさか私のお姉様になる日が来るなんて。
この人が私の、特別な存在になっただなんて。


未だ現実味の無い現実に、今が夢なのかと思う。
どうせ夢なら、もっと近くであなたを……


気が付けば私は、梅様の頬を両手で包み、眺めていた。
最初から思っていたけれど、この人は本当に可愛い。
何故私をそんなに可愛いと褒めてくれるのか分からない位だ。
明るく振る舞ったり、冗談を言って場を和ませたり
戦闘時は無駄なく全体の為に動き回って皆を助けている。

癖のある髪も、綺麗な深い翡翠色の瞳も、もちもちのほっぺたも
映る物全て、目を引いて仕方のない存在だ。


そうしてぼんやり夢心地で眺め続けていると
見ていたはずの翡翠の光が瞼で閉じられてしまった。
ずっと見ていたいのに、何故消えてしまうのか。
不思議に思って視線を、梅様の瞳から顔全体に変えて眺めてみれば
頬を軽くピンク色に染めて、唇を尖らせている。

……なに、これ。


『……梅様、何ですか?』

「え?こういうコトだろ?」

『こういう、って』


そう言って、翡翠の瞳が開かれて私を見ると
今度はまた楽しそうに目を細め


「キスされるのかと思ったゾ」

『………あ!』


今の自分の姿、行動を俯瞰して考えれば
どう見ても、まるでキスしようとしているようにしか思えない。
そんなつもりは全く無いのに
というか、私は何故こんな事をしているのだろうか……。
我に返ると恥ずかし過ぎて、頬に置いた手を離そうとした。
けれど、その手は梅様の手に上から包まれて頬から離せない。


『や、これは違……手、離して下さ』

「ヤだ」

『誤解です』

「誤解なのか?」

『当たり前です』

「ふーん。まぁ梅は鶴紗になら何をされても構わないけどナ」


冗談では無さそうな声色で、にっこりと私に微笑みかける。
そんな笑顔を見ていると、困った事に私の中では
これが冗談では無い方が……楽しそうだと思えてしまう。


《 これからも、梅と一緒に笑ってくれるか?》


あの時、私にくれたあなたの言葉が胸に響く。
私も梅様を。お姉様を笑わせたい。
ずっと笑顔で居て欲しい。
その為に私は、私に出来る事を。


『そうですか』

「おう」

『じゃあ……ずっと笑っていて下さい』

「もちろんだ」

『約束』

「ん?」


余裕綽々で笑っていた梅様に
私がそうして柔さに触れた後の
驚きと、沸騰したかの様に頬が真っ赤になる様子を見て

意外な嬉しさで自然と微笑んでしまった私と
幸せで笑う私達がいた。








●fin.











まえがきあとがき



『zusammen lachen』(ツザメン ラッヘン)

ドイツ語で 『一緒に笑う(笑い合う)』 の意味。


姉妹契約を結んだばかりの2人。
ほのぼの話。
まだ夢を見ているような気持ちで
梅から目を離せなくなった鶴紗が取った行動は。

お互いの笑顔を守る為に結ばれたと信じたいです。




……というのが、シブでの投稿文です。





本当のあとがきとしては。


堅苦しくキャプションは書いてましたけど
実際は、単に

鶴紗が梅の頬を包んで、じっと見る。
それに梅が照れながら、目を瞑る。

そういうシチュを書きたくて
書いたらどういう展開になるのかな(* ´ー`)
って思って書いただけのお話です。


『私がそうして柔さに触れた後』
鶴紗の思考描写の部分ですが
かなりボヤかしてますので
鶴紗のお好きな部分で、梅のお好きな部分に触れて下さい。



2人の根本的な関係を進めるには
梅から行動を起こして貰うしか無いのですけど
物語を進めるには
鶴紗が突発的に妙な事をする(言い方…)
しか無さそうなので
こういう話を書くのは楽しいです。


2人には、ますます仲良く、楽しく過ごして欲しいものです(*´з`)







●少し雑記●



あ。シブでは


飽きる事無くたづまいを続けて3年目突入へ。
自分が好きな2人を書いて行きたいです
似たようなシチュばかりですがどうぞ宜しくお願い致します(´ω`)



などと書きましたけど、正直

あまりシブに期待も希望も持ってません(爆

基本的な数字が少ないだけで(フォロワ数・作品のブクマ等々)
見てくれる人は勿論
何かを押して反応下さる方も少ないので
作文を出しても『弱小アカ』ですと晒されている気分になってしまい
いつもストレスだったりします。


ただ。私自身は……
反応をしてくれるだけで有り難いし
一人だったとしても普通に嬉しいので
その人の為だけに書けて嬉しいなと思ってます。
色々あって、ブクマのチェックは一切しておりませんが
(誰が押した・押していないというのが気になってしまう、というのもあり)
押して下さったかた、ありがとうございます。

ブログの方が、ほぼ反応来ないので
(拍手、全く来なくなりました・失笑)
ちょっとした心の拠り所としてシブを活用している部分もありますし
今後とも、作品を置く事だけご容赦願えればと思っております。





厳密に言えば
アニメ終了後の翌年の、2月頃に初作文を書いているので
作文書きとしてはその頃に3年を迎えます。

こんな事を始めて3年。3年もこんな事を……(:3_ヽ)_

と、自分に呆れております。
続けられるだけ続けて
私の作文や小ネタを好きになってくれる方が現れて
奇跡が起きて感想など頂けるようになれたら
そう思ってやっております。
気が向いたら仲良くしてやって下さい
いつも愚痴っぽいから怖がられてそうですけど

怖くない、怖くないよ(*´з`)ホラホラ♪

逆に怖いだろ。
まぁ、どうぞ よしなに お願いします(*゚Д゚)ノシ






……などと書いて、今チェックしましたら

●拍手お礼●

1/4

なんと、お一方から3回!も押して頂いてました。
空白だった履歴に連絡があってビックリしました。
ありがとうございます、元気出ました(* ´ー`)





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