「Ich will verwöhnt werden」●梅視点・短編(11/28雑記追記






●まえがき●


梅視点。短編。新作。


付き合って間も無い、初々しい頃の2人。

どちらの部屋でも可。
どんな服装でも、年齢も、お好きに妄想して下さい。

久々の、2人揃った休暇で一緒に居た、という設定。
























『……』

「……」


さて、これはどうしたものか。
さすがの私も途方に暮れていた。





久々の休暇も、もう大半が過ぎた黄昏時。
ソファで休んでいた私の元に来た鶴紗は
何の予兆も感じさせる事無く自然な動作で
座る私の太腿に躊躇無く臀部を乗せ
少し頭上から覆い被さった後、ふんわりと抱き締められた。


「鶴紗?」

『……』


名前を呼んでも返事は無く、顔を上げる事も無く
ただ私の首筋に顔を埋めて抱き締めたままだ。
何かあったのかと心配になる。


「どうした、何かあったのか?」

『……』


小さく微かに首を振る感触がする。
違うのか、なら良いか。


そもそも、鶴紗が私に黙って抱き付くなんて
初めてじゃ無いだろうか。
他人を、ハリネズミの様な刺々しい雰囲気を出して
避け続けて来た鶴紗が、こうして私に自分から抱き付くなんて。
ちょっとした優越感で、頬が自然と緩んでしまう。

本当に、可愛いな。

抱き付かれた以上、抱き返しても文句は無いだろう
そう勝手に解釈して、私もそっと頭と腰を抱き返してみる。

そんな事をすれば嫌がって飛びのけると思ったけれど
意に反して、鶴紗から更に
猫が甘えるように身体を密着して甘えて来て
あまりの驚きで、私の体も思考も少し固まってしまった。


「梅はこうしていれば良い?」


また、ほんの少しの肯定を首筋に感じて
私もまた抱き返した手に少し力を入れた。






そうして、日も完全に暮れてしまった今も
夕食の準備に取り掛かる事も無く
薄暗くなった部屋でこの状態が続いていた。

さて、どうしたものか。
打開策を、問い掛けの中で見付けられれば良いけれど。


「何か辛い事でもあったか?」


違う。否定の布擦れの音がする。


「怖い事があったとか?」


これも違う。


「じゃあ……梅に抱き付きたくなっただけ?」


まさかな。
そんな甘え方、付き合い始めて今まで一度だってした事は無い。
意味の無い質問をしたものだと自分に呆れて
次にどんな質問をしたものかと思考を巡らせていると


『……っ』


ふっと、その言葉に驚いたように息を止め
諦めた様に長く息を深呼吸するように吐いた後。
肯定の頷きを首筋に感じて


「……え?」

『……』


今度は力強く、私の頭と肩を捕まえて抱き締めて来た。

鶴紗の鼓動が少しずつ早まるのを、密着した服越しで感じる。
当然、私も鶴紗に負けない位、どんどんと鼓動が急いて来た。

こんな甘え方をされるなんて。
あの鶴紗に限って有り得ないと思っていた事が
こうして現実に起こっているなんて。
……まさか
私はあの黄昏時の薄暗さの中で眠ってしまっていて
これは実は夢なんじゃないのか?
そう思える程、リアル過ぎる夢の様に思えてしまう。

もし夢なら、もう醒めてくれるな。そう思える位に。

甘え方を知らない、鶴紗らしいやり方だ。
愛おしさが止まらなくなってしまう。
全く、私をこれ以上好きにさせて
どうしてくれるんだお前は。


「嬉しいな」

『……嬉しい?』


やっと、答えてくれる気になったらしい。
お前の声が、喉の震えを皮膚越しに感じると共に
心地良く私の鼓膜を揺らす。


「したい事は、いつでもしてくれ」

『でも……』

「何をされても梅は全部受け入れる」

『……困らせたく無い』


この現状が既に、困らせている要因だと分かっているのかいないのか。
鶴紗らしいと、心の中だけで苦笑して私は続ける。


「もう暗くなったんだ、顔くらい上げてくれ」

『……恥ずかしい』

「梅も相当恥ずかしい表情になってるゾ?
 梅のドキドキ、分かるだろ?」

『……うん、すごく』

「ま、別にこのままでも良いけどな」


よしよしと、優しく鶴紗の後頭部を撫で下ろし続ける。
それが気持ち良いのか、すりすりと私の首筋に甘えて来る。


『……折角の休暇だし、まいを休ませたかったけど』

「うん」

『もう休暇も終わりだと思ったら、急に……寂しくなって』

「そうか」

『……まいの、香り』


すぅ、と髪に顔を埋めて深呼吸されると
さすがに私も照れくさくなる。
それでも、鶴紗が求めてくれる事を止める事は出来ないよな。


「これからどうする?」

『……もう少しだけこのままで』

「ん」

『ありがとう』

「私こそだ、ありがとな」




これからゆっくりと
もっとたくさんの甘え方を教えて行こう。
そんな未来へのワクワク感を覚えながら
痺れ始めた腿の感覚を誤魔化しつつ
可愛い可愛い私の仔猫の毛並みを撫で続けた。








●fin.













●あとがき●


「Ich will verwöhnt werden」

ドイツ語で『甘えたい』という意味。
甘える、というドイツ語は無いらしいので
こちらの方がしっくり来るので題名にしました。


こんな風に、題名で内容がバレるような物に関しては
読んでくれる方に(そんな方が居れば、ですが)
ワクワクして欲しいので
ボヤかしたり他国語に変換したりしています。

ま。
内容とか読み応えとは関係無い話ですが。
(単なる管理人のエゴ)



普段甘える事の無い相手が
急に、理由も無く甘えてごらんなさいな。

可愛くてしょーがない(*´д`)ハァハァ

ってなります。きっと。
可愛い鶴紗と、それにドキドキする梅。
そんな初々しい2人を書きたかっただけの小話。




しかし。
どこかで見たようなシチュばっかりになって来まして
管理人の脳みそ容量の限界を知った気がします(苦笑)
書きたい事があるわけでは無いですけど
2人が大好きなので、何かを紡ぎたい。
それだけの、趣味のブログでございます。

どうぞ、生温かい目で見守って下さい。












●ちょっと雑談●


さて。
ラスバレ、次回のイベ解禁を明日に控えて
管理人は、なんだかソワソワして落ち着きません。

例の後編、でしょうか。
違っていたら、それはそれで残念ですが。


どうなるんだろう。
どちらも致命傷とか無く無事でいて欲しいものですし
もし、良い方向にお話が進むのであれば
素敵な展開にして欲しいものです。

あまり公式に期待していませんけど
2人のイメージからあまりに離れた展開にだけは
しないで欲しいと願っています。


それを見た後で
私が二次を楽しく続けられるかが分からないので
今の内に身勝手妄想話を出してしまおうという魂胆でございます。


あーもー。
素敵な展開だったらだったで、二次を書けなくなりそうだし
トンデモ展開だったら気落ちして立ち直れそうになさそうだしで
戦々恐々です……早く何とか なっておくれ _ノ乙(、ン、)_



(11/26・追記)
あ。
やっぱりラスバレ放送局のゲスト、お二人でしたね。
まぁそうなんだろうけど、わたくし
好きな人達を直視出来ないタチでして
画面見られる気がしませんよ困ったな (アホ

やっと一般的なたづまい好きさん達が
喜ばしい展開になりそうで良かったですね。
私はあまり契約には賛成しかねるもので
複雑でございます……あーあ。_(:D」┌)⁼³₌₃





(11/28・追記)


見まして?ラスバレ放送局。

最高でした……マジで。


お二人を見ているだけでも幸せだったのに
ぴちゃんも居るかと思ったら完全2人きりだった上に

あの生アフレコよ。

紡木さんがフザけずに真剣にやってくれて
それに引っ張られて岩田さんも真剣に当ててくれて
一番のクライマックス場面に素敵ボイスが……

_:(´ཀ`」 ∠):_ < サイコー……

いつもなら絶対紡木さんがフザけたりして
一緒に笑ってしまって終わるパターンだったので
またダメなんだろうなと思って見てたら
あんな最高な事になるとは。

イベント始まる前にお腹一杯です。
どうもご馳走様でした。


あと2日後にイベ。
不安もあるけど、どうやら離別や離脱は無さそうなので
楽しみの方が強いし大きいです。
あーワクワクドキドキ。








●拍手お礼●

11/18、11/22

各1拍手ずつ頂きました。
いつもひとこなブログに優しさをありがとうございます、感謝(*゚Д゚)ノシ







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