「最高の贅沢」●梅視点












●まえがき●


梅視点の超短編。久々の新作。


まだ知り合ったばかりの先輩後輩で
恋愛・友愛感情すら無い頃の話。


2人のテンポの良い会話(当社比)をお楽しみください。
こういうセリフ回しが管理人は大好きです。

以下、矢印より始まります。



ゲームがストーリー出して来る前に
妄想作文を出してしまおうと言う魂胆は内緒。













●●








楽しい事があったわけでも無く。
悲しい事があったわけでも無い。
珍しく、何も考えずにただボーっと
お気に入りの木に寄り掛かって、ふかふかの芝生の上に座り
木漏れ日を眩しく見上げていた。


こいつに背を預けていると、とても落ち着く。
そよぐ風の音だけが耳に入って来る位の静かな午後。
さてこの後何をしようかと考えを巡らせていると
遠くから微かに、石畳を蹴る誰かの軽い足音が聞こえて来た。

ああ、多分これは。聞き覚えがある。あいつのだろう。


「たぁづさぁー」

『なっ』


やっぱりだ。
大きな声でその名を呼ぶと、可愛い素直な驚きの声が響いた。
鶴紗にとっては、急に草むらから声がしたようにしか思えないだろうな。


「どーせ暇だろ、こっち来ーい」

『勝手に私を暇人にしないで』


諦めたようなため息が聞こえて、鶴紗は私の前に姿を見せた。

軽そうないつものトートバッグから察すると
猫達と遭遇して、散々遊んだ後だろう事が分かる。
嬉しそうに頬を緩ませて、とても機嫌が良さそうだ。


「お目当ての猫がいたのか、良かったな」

『……何で分かるの』

「なんとなく」

『梅様は何をしてるんですか』

「なーんにも」

『そっちが暇人じゃないか……』

「まぁな」


それは否定しない。
暇な時に通りかかったのは、お前の運だ。
座る私を見下ろすと、嬉しそうな表情をすぐに曇らせて
軽く眉間にシワを寄せている。

さて、何をして遊んでやろうか。


「ヒマだぞ、遊んでくれ」

『子供みたいな事言わないで下さい』

「子供で良いぞ」

『先輩でしょう』

「どーだかな」

『はぁ……遊んでますね』


こうして鶴紗は、私が思うかそれ以上の答えを返して来てくれる。
鶴紗とのやりとりを私は、最初の会話の時からずっと楽しんでいる。

面白いやつだ。

どうせ子供だと思われたのなら、もっと面白くしてみようか。


「梅は子供だから、抱っこしてくれ」

『は?』

「ん」


楽しさを演じて両手を広げ、鶴紗に抱っこを促す。
まぁ鶴紗の事だ、また苦虫を噛み潰したような表情をして
溜息を吐きながら悪態をつくのだろうと思っていた。
からかうのも程々にしないとな、そう思って腕を下げようとした時。


『……やり方、良く分からないけど』


そう言って私に近付き、バッグを置くと
座る私を跨いで立膝になって
たどたどしく伸びて来た腕が、不器用に私の頭を胸に抱いた。


『合ってる?』

「……もちろんだゾ」

『そうか』


少しずつ、様子を見るように腕に力を入れながら
ぎこちなく抱き締めて来る。

慣れていないんだろう、どうにも固い。
そう心の中で苦笑したけれど
一所懸命にしてくれている事が嬉しい。


そうしている内に、その固さが少しずつ解けて
手が柔らかく私の頭を、肩を包んで来る。
さわさわと、私のくせっ毛を
猫を優しく撫でる様に触れて来る。

少しずつ少しずつ、柔らかさや優しさ、体温を感じるその度に
不思議な感覚を覚える様になっていた。


「何で してくれるんだ?」


鶴紗が、こんな事を素直にしてくれるなんて
本当に思わなかったから。


『分からない、でも。
 何となく寂しそうに見えたから?』


語尾が疑問形なのも鶴紗らしいが
何よりそう言われて私は、驚いて目を丸くした。
こいつは、誰よりも寂しさを。孤独を知っている。
そういう事に、より敏感なのかもしれない。

そうか。私は寂しかったのか。だったら……


「お前が言うならそうかもな」

『え?』

「ありがとな」

『……変なセンパイ』

「まぁな」


私も腕を回し、華奢な腰を引き寄せて
鶴紗をゆっくりと抱き締めた。
温かい。柔らかい。鶴紗の香り以外に草の匂いもする。
からかうつもりが、こいつにどんどん癒されて行く。
なんてことだ。


『もう良いですか?』

「もうちょっと」

『子供、ですものね』

「そ。ワガママ放題だ」

『はぁ……もう良い』



結局、こうして暫く付き合ってくれた後
お礼に、違う集会所を紹介した時に見せた
嬉しそうな表情がまた私に不思議な感情を起こさせた。





こうして緩やかに過ぎて行く時間(とき)を
私の奥にあったのだろう寂しさを見付けてくれて
温かい優しさと共に過ごせる人が居る。

なんて贅沢な事なのだろうと思った。










●fin.












●あとがき●


梅はいつも通り一人気ままに休んでいたつもりだけれど
鶴紗からは、心の中では誰かを望んでいる、そんな寂しさが見えて
何となく「構ってあげても良いか」と思えたという
そんなほのぼの話です。


他人に言われて、自分の本当の気持ちに気付く事ってあるよなと。
鶴紗の微かな足音に、敏感に気付くあたりも
無意識下では誰かを求めていたのだろう、という描写に含まれます。


こういうサラっとしていて、テンポの良いセリフ回し(もちろん当社比)
を書くのが本当に好きだし、目標でもあります。
あまり2人に難しい説明セリフを言わせたく無いんですよね

「だな」
『うん』

その程度で何となく察する事が出来る、そんな感じ。


こんなバツグンに相性の良いカプがあるものか(*´д`)


あー、ずっと2人を書いていたいものです。




■追伸(11/18)

今プライベッターを眺めていたのですけど
似たようなシチュを既に書いていたのを発見して

穴があったら入りたい……(:3_ヽ)_ウワァ…

私もこれだけ書いていると殆ど書いた内容なんて忘れてますし
読み返す事も殆ど無いもので
万が一、私などの作文を読んで下さっている奇特な方が居られて
ガッカリさせてしまったらすみません。
読まれているとは思っておりませんが、一応言い訳しておきます。

きっと、私自身が好きなシチュがあるから
どうしても重複してしまうのだと思います。
どうか、生温い目で見守って頂ければ幸いです。はい。すみません……








●●

毎日、お寒うございますね。
冬にも温暖化が頑張れば良いのに
こういう時はきっちり冬が来るあたりが困ります。
とにかく、人が歩けない位のドカ雪だけ降ってくれるなと
願わずにはいられません……ヤだなぁ。


会社で、一応暖房は効くものの
私のすぐ横にある入口の扉を完全に開け放って
30分以上も放置して出てしまう高齢者が居て。
2階なので、下から寒風が吹きすさぶわけです。
5分もすると私の半身が寒すぎて痛くなって来るので

この人は鬼だ……

日々これなので、どうにかして欲しいものです。
閉めると うるっさいので閉められないんですよ
何か荷物を両手に持って上がって来るので
開いてないと入れない、と言って。
そしていつ帰って来るかが全く分からないという。
閉めたら途端にタイミングよく帰って来たりするので
怖くて閉められないのです。

年齢重ねると融通が利かなくなるので困ります。
早く冬終われ……_ノ乙(、ン、)_サムイヨ……



自分の想像以上に厚着しないと
お体に障りかねないので十分注意して下さいませ。
それでは。









●拍手お礼●

11/15


これがなんと!
お一方より6拍手も頂きました!ホントにビックリしました。
嬉しくてどうしよう……
楽しんで頂けた記事があったのなら嬉しいです!
ありがとうございます!感謝っ!ヽ(*´Д`*)ノ








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