閑話
お久し振りの 小話です
よくある話ですが、宜しければどうぞ(´ω`)ノ
( 4/21・追記 )
ご意見いただいたので
少し言い回しとか修正してみました
大きく変化してないので、読み返す必要はありません (・ω・)
※
私達の、約束の場所。
春の宴はとうの昔に終了し、今はひとり
宴とは違うこの場所で彼女を待っていた。
彼女が今日、確実にここに来るとは限らない。約束はしていない。
お互い、とても約束なんて出来るような仕事状況では無いからだけど……。
それでも、ここにいれば彼女に逢えるという
自分でも良く分からない自信はあった。
宴の終了から、もう何時間経ったのかな。
高台に立つ私の眼下には
街の灯りがぽつりぽつりと見える程度で、暗闇がずっと広がっている。
私自身はその暗闇に染まっているわけじゃなく
私と共に彼女を待つ、心強い 『相棒』 を照らす、ほのかな明かりの中に居た。
時折、サイドテールが
強く吹き抜ける風であちらこちらに踊るのを手で押さえ、撫で付ける。
昼間は春の訪れにより暖かくなりつつあるけれど
夜風はやはりまだまだ冷たくて
友人達が貸してくれた上着がとても役に立っていた。
「……そろそろだとは思うんだけどなぁ」
相棒にそっと左手を当て、空を見上げて呟く。
君は、それに答える事は無かったけれど
ただそこに居て、優しく私を見守っていてくれていた。
ゆっくりゆっくり、焦る事無く、私達の時間は流れて行く。
そして。
「はぁ……はぁ………なの、は!」
その声のする方を見上げれば
ずっと上空から私の名前を、息を切らせながら叫ぶ彼女がそこに居た。
もちろん、上空も暗闇に覆われ、彼女だと鮮明に認識出来る訳じゃないけれど
私には、そして彼女にもきっと
お互いの気配や存在はすぐに分かってしまう。
それほどに、容易に分かり合えてしまう程の歳月を
二人で過ごして来たからだろう……
「フェイトちゃーん」
名前を呼んで答えると、とても嬉しそうな彼女の顔
……というのは見えないけれど、そうだと分かる。
彼女の気配がとても穏やかだから。
私と相棒の真上に居る彼女は、ゆっくりと私達の元へ降りてくる。
その時。
「きゃっ!」
「フェイトちゃんっ!?」
地面から上空に向かって強く吹き上げる春疾風が彼女を襲う。
その風に乗り、私の相棒……桜の大木から巻き上げられた花びらが
桜吹雪となって更に彼女を襲った。
予想外の攻撃に彼女は、バリアジャケットのマントを使って身を守る。
どうやら、目などへの直撃は免れたようで、ほっとした。
嵐は止み、今度こそ地上へと降りて来た彼女。
私の隣へと降り立った彼女のその姿が、薄明かりに照らされる。
「……っ!?こ、こんなに花びらが……!」
彼女の純白のマントと、内側のジャケット……というか
バリアジャケットの外見全体が桜色に染められたかのように
桜の花びらが貼り付いて被いつくし
髪全体にも様々な形で入り込み、散りばめられていた。
よくよく見れば、彼女のジャケットや身体、髪も少し湿っている。
恐らく、夜風の中を相当のスピードで駆け抜けて来たのだろう。
そんなふうに湿ってしまうのは当然と言えば当然で。
「えいっ!……あ、あれっ!?このっ……!」
その湿り気の為、手で払ってみても、マントを翻して飛ばそうとしても
付着した花びらは、数枚は根負けして飛ばされるものの
その殆どはしっかと張り付き、取れる気配も無い。
いつだっただろうか、舞い散る花びらを取ろうとして
踊るようにひとり奮闘していた彼女を思い出す。
ただここに立っているだけでも
見えないどこかに付着して、お土産になってしまう程
この大木の花びらはなかなかに……くっ付いたら離れてくれないみたいだね。
しばらくそうして、またも奮闘する彼女だったけど
その内、意外にも早く諦めたようで、動きが止まる。
「もう良いの?フェイトちゃん」
「……多分、この桜の木の花びら、私から離れてくれないと思う。
こんなコトしてる時間が勿体無いよ」
「……そっか」
私も、彼女と居られるこの貴重な時間を大切にしたい。
ふぅ、と一息吐いた彼女は
慈しむような視線を真っ直ぐ私に向け直し
「ただいま、なのは」
彼女の、穏やかな笑顔と共に、高く澄んだ声が
冷えて少し赤みの差した私の耳に、優しく響く。
なんて愛おしい
その、声。
「おかえり、フェイトちゃん」
そう言い返し、彼女の胸に飛び込んだ。
ひどく慌てて戸惑う彼女。
多分、その花びらへの懸念からだろうけど
それに構わず、花びらごと彼女をぎゅっと抱き締める。
すると、一呼吸置いた後、私の名前を呼んで、しっかりと抱き締め返してくれた。
彼女自身と花びらの、優しい優しい香に包まれて
私は、嬉しさと幸せでいっぱいになった。
待ち合わせの約束をしているわけじゃない。
でもこの、私達の友人で、相棒である木の下で
桜花が満開になる頃
二人一緒に初めて見上げたあの記念日に巡り会う。
ここが、私と彼女の、特別で大切な場所だから。
これからもずっと、大切な場所になるはずだから。
この予感はきっと……現実になる。
「ところでフェイトちゃん。
飛行許可、取ってないでしょ?」
「え………あああっ!!
そ、そうだった!!
ど、どど、どうしよ、なのはっ……!!」
※
ウチの、春の風物詩
『桜花』 シリーズ
その閑話、ということで (´ω`)
時系列で言えば、前回の親子話の少し前っちゅうトコです
フェイトさんを花びらまみれにしたかっただけです (どアホ)
このお方は良く花びらに遊ばれますなぁ……w
こちらではようやく、花びらがほころび始めた所です
今年は開花も遅いですね
まぁその分、楽しみが増えて良い感じ (*´Д`)
自重、自粛とか良いんで、献杯っちゅう形で、どうぞお花見を楽しんで下さいね
わしはお酒が ちーとも飲めませんので
やっぱし、じんじゃーえーる で乾杯っす(笑)
管理人的に
桜が終わる頃に花粉もひと段落つくので、早く来いって感じなのです
んで、夏とかすっ飛ばして!
ソッコーで秋が来たら最高です
人間、適温の中に居られるのが一番贅沢だと思うんよ(´ω`) ←我侭放題
●4/22追記
気持玉、ありがとうございます
『かわいい』
そこは特に狙って無かったんですが
嬉しい気持ち頂きました (*´Д`)ゴチデス♪
この記事へのコメント
飛行許可ですが、桜の花びらだって飛行許可は取ってないんですから、桜まみれのフェイトさんだって許可はいらない・・・っていうのはだめですかそうですか。
この桜花シリーズ、私は好きです。
桜って好きなんですけど、みんなでワイワイやるよりは、この2人のように静かに楽しみたいなって思います。(私には一緒に付き合ってくれる人はいませんがw)
うん、絵になりますね~。もっともフェイトさんはなんでも絵になりそうですが(苦笑
さて、なのはさんとはちょっと違うような言葉づかいだったので、あれ、これなのはさんかな? ってちょっと思っちゃいました。
でも、最終的にはなのはさん視点だとわかったので、よかったです(なにが
だけど、一番よかったのは、飛行許可も取らずに飛んで来ちゃったフェイトさんです。
きっと、なのはさんが力づくでなかったことにすると思うんだ(マテ
そんな光景をありありと思い浮かべつつ、ごちそうさまでした(敬礼
それでは、これからも頑張ってください。応援しています。では、また。
分かり難く書いてるつもりなのにおかしいな(バレバレ)?
あ、なるほどそれは上手い解釈……やりますね(´ω`)ムゥ…
ありがとうございます!私も大好きなんです!w
…お互い、色々と頑張りましょう(苦笑)
コメありがとうございました!
>魔ぎゅなむさん
ええ、こう、菊人形みたいな感じで(ry
という事で、少~しだけ修正してみました。
ただ、台詞以外の部分はなのはさん口調じゃなくても通じるので良いかな、と。
なぁにそんなの、金色の天使の笑顔で一発おkですよ(謎)
いつも通り、妄想逞しい魔ぎゅなむさんに久々に会えて嬉しかったです、コメどうもでした(´ω`)ノ